【FF14】とある赤魔の日常

FF14@Anima のんびり生息中

【お話・1】「友よ」 (ネタバレ注意)

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「お嬢様。こちらの鉱材はレッドに渡しておけばよろしいので?」

 

 うららかな昼下がり。なんとはなしに始めた「倉庫」整理の最中、エースが語り掛けてくる。
 こくりと頷いてそれに返すと、彼は瞳を細めて笑みを浮かべ、同じように頷いてくれた。

 

 常に冷静で、穏やかなエース。まるで「王子様」のような振る舞いに、心の中でこっそりとそんなあだ名をつけてもいた。

 

「レッド。これもお前の倉庫に入れておけ」

 

 しかし、なんだ。自分以外に対する接し方にはいささか問題があるようにも思える。

 

「はあ!? お前それ、俺様に向かって言ってんのかっ!」

 

 案の定だ。

 

 エースのぞんざいな扱いに、まるで「シャーッ!」という威嚇声が聴こえでもするかのような勢いの彼は、レッド。ミコッテ族の彼は、怒ると瞳が吊り上がり、しっぽもぶわっとふくら……んでいるように見える、気がする。

 

「お前以外誰がいる」

「お前にお前って言われたくねぇなあっ!」

「お前にお前と言わずして、誰にお前と言うんだ」

「なんだとーーっ!」

 

 また始まった。

 

 エースとレッドはとにかく仲が悪い。こうやって何かと衝突しているのだ。
 もっとも、もはや見慣れた光景であるから、無視して片づけに再度向き合うことにする。


 いや、しようとした。

 

「まあまあ、2人とも。そんなにいがみあわなくてもいいでしょ。ね。みんな主の元に集いしリテイナーなんだからさ」

 

 やはりそう来るか。

 

 いがみあっている2人に声をかけたのは、リテイナーとして初めて雇った彼、ケイだ。私と同じヒューラン族の彼は、常に穏やかだ。そして、気遣いさんだ。

 

 一応、一番最初に雇われたからという理由だけでリーダーになっている。が、案外その素質はあるようで。

 

「うるせぇなっ! 人の喧嘩に首突っ込んでくんなっ」

 

 怒るレッドに、ケイがにっこり微笑んだ。

 

「うんうん。そうだね、そうだね。でもね。こうやって喧嘩してる間に、いくつか片づけられるんじゃないかな。そうしたら、きっと主も早く出かけられると思うんだけど……」

 

 確かにその通り。やはりリーダーだよ、君は。
 うんうん、と心の中で頷いていると、部屋の片隅で黙々と作業していた男がむくりと立ち上がった。

 

「おい、お嬢。お前さん……これ、忘れてないか?」

 

 大柄の男はエースと同じエレゼン族。エースの「王子様」な雰囲気とは違い、ワルイドな彼が、のしのしと自分に近づいてきて、一枚の絵画を差し出した。

 

 それを見て、私の目が大きく見開かれる。

 

『オルシュファン……』

 

「ははん。その顔を見るに、忘れてたようだな」

 

 自分の顔を見て、シロがニヤリと笑った。図星を刺されて目が泳ぐ。

 

「ん? なんだなんだ?」

 

 さっきまでエースとの口喧嘩に勤しんでいたレッドがやってきた。つられて、ケイとエースもやっくる。

 

「ああ、これが噂の。主のご友人ですね」

 

 ケイの言葉ににこりと笑って頷いた。

 

「へぇ。なかなかの面構えじゃないか。ま、俺様ほどじゃあないけどな」

 

 フフンと鼻を鳴らしながらも、興味深げにレッドがのぞき込む。

 

「この方は、確か、フォルタン伯爵の……」

 

 エースの言葉に、また小さくコクリと頷いた。

 

「『銀剣のオルシュファン』。フォルタン伯爵、唯一の間違いでできた私生児ってやつか」

 

 シロの言葉に、そこにいる全員が『おいっ』というジト目を向けた。
 それに気づいた彼は、やれやれと小さく肩を竦めて口を閉じる。

 

 シロの言葉に間違いはない。確かに世間では、フォルタン伯爵の唯一の間違いと言われてるが、しかし、件のフォルタン伯にも、その腹違いの兄弟たちからも、慕われていた男だ。

 

 ---私は目を閉じた。

 

 そうすれば、その瞼の裏に、次々に浮かび上がってくる。在りし日の彼の姿が。

 

 初めて出会った時のことを、覚えているかい。

 

 逃れて君を頼った時、届けてくれた暖かな飲み物に、心まで癒された。

 

 君は本当に強い男だった。体も、心も。きっとあそこにいた誰よりも強かったのだろう。

 

「さぁ、お嬢様。彼にも、今後の旅路を見守ってもらいましょうか」

 

 エースの言葉に、少しだけ涙ぐんでしまった目をこすったあと、うん、と頷く。

 立ち上がり、彼の場所を探した。そして、入口近くの広い壁に定める。

 

「へえ。なかなかの色男だな」

 

 シロの言葉に小さく笑った。

 

「さぁて、じゃあ片づけを再開しようか。夜になっちゃうからね」

 

 間の抜けたようなケイの声に、また小さくこくりと頷いた。

 

 そう。冒険はまだまだこれから。
 だからそこで見ていてほしい。

 

 ---我が友、オルシュファン。

 

 そしてまた、楽しそうに冒険話を聞いてくれ。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

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そう。リテイナーの倉庫片づけをしていたら、ひょっこり出てきたオルシュファンの絵画。

「おったんかい!」

ってなったよね(笑)

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